ニュースキャスターとして一年余り『週刊読売』に連載したコラムや、『月刊朝日』などに掲載されたエッセイをまとめた第一エッセイ集。表題である『夢見るリアリスト』には、常に現実を直視する勇気を持ちながら、理想とする社会のあるべき姿に近づこうと努力するジャーナリストとしての覚悟や志がこめられています。「現実と夢(理想)の狭間で引き裂かれるしんどさこそが、生きている実感、生まれてきた意味」という筆者の言葉通り、スタジオのみならず各ニュースの現場で様々な不条理に遭遇し、それでも報道の使命をまっとうしたいと苦悩する若きキャスターの熱気を感じられる一冊です。
畑恵著『夢見るリアリスト』1991年7月、海竜社
目次
第1章 真実、伝えたいのはただそれだけ ―マスコミの中、自分を見つめて―
第2章 キャスター、その不可思議魅力 ―虚構と現実に引き裂かれながら―
- 愛のムチ
- キャスターは格闘技
- 痛恨の一ページ
- 借り物の服は着られない
- 喪服着用のこと
- アナウンサー冥利
- 私の顔がリトマス試験紙
- 天才キャスター、一日にしてならず―久米宏さんと
- キャスターに包丁は似合わない?
- 作られてゆく私
- 因果な商売
- リポートは自分の足でかせぐもの
第3章 男性、なんて素敵なパートナー ―女の課題は男の問題―
- なんてったってカラヤン
- こんな男性にグラッとくる
- 進む男女のボーダーレス化
- 戦争は男をオスに変える
- 女人禁制、縛られてるのは実は男性
- 女だって真剣勝負―紳助さんの子育て論
- たかがパンツ、されど……
- 女一人で子供は作れない
- 女はメスには戻らない
- 男性だって子供は可愛いい
第4章 女、もっともっと輝いて ―自分の人生は自分で選びとるもの―
- キャリアは必ずついてくる―加藤タキさんと
- 乗り越えた輝き―都はるみさんと
- 看板も使いようで踏台
- 当時者不在の婦人運動
- 中絶、いま沈黙を破る時
- 女性の身体、男まかせじゃいられない
- カルチャーセンターはもう卒業―最近ミセス事情
- 過食症、彼女達は何を抱えているのか
第5章 すべての国が私の恩師 ―自分が見える、日本が見える―
- 中国―天の半分を女が支える国
- 制服を脱いだ解放軍
- ニューヨーク―キャリア・ウーマンは眠らない
- 非難さえしてもらえぬ日本人
- パリ―文化は一朝一夕には育たない
- オランダ―古くて新しい師
- ガーナ―ちょっぴり苦いチョコの味
第6章 裸の自分と向かいあえば ―ちっぽけな自分だからこそ、いとおしんで―
- 人生凧上げ、コツは遊び
- 思い煩わずに生きられたら
- 名人は力まない
- 内なる声に耳をすます
- 撮影は気のキャッチボール
- AB型常識破りは血のなせる技
- 化粧―夢と現実をつなぐ架橋