行財政改革・税制等に関する 特別委員会(平成11年6月29日)

質問テーマ

[21世紀に向けた行政システムの改革]省庁再編関連法案・地方分権推進一括法案

質問のポイント

1.サッチャー行革

  • 何をすれば国民から高い支持を得られるかではなく、 何をする事が国家百年の大計に沿っているのか、 そして最終的に国民のためになるかをしっかりと見きわめ、常にそれを果敢に断行し、 そのことによって受ける様々な批判や試練にも決して屈しなかったからこそ、 サッチャーは歴史に残る大改革を成し遂げる事ができたのではないかと思う。 総理と一心同体である野中官房長官は、 サッチャリズムのこうした流れをどのように受けとめ、 今回の行政改革にどのような意気込みで取り組まれているか伺いたい。

2.内閣機能の強化

(1)「内閣官房」と「内閣府」の機能分担の明確化

  • 以前行革会議の資料を読んだ際、内閣官房の役割は総合戦略であり、 内閣府の役割は総合調整であるとマトリックスに書いてあったが、 実際法案を読むとどちらも企画立案及び総合調整を行うと書かれている。 内閣官房と内閣府の役割分担を明確に教えていただきたい。

(2)内閣官房

  • 内閣官房では国家戦略を練るだけで、 各省庁との様々な調整はそこで行うべきではない。 戦略的な策定機関と調整の場はやはり分けるべきではないか。
  • 国家戦略を策定する内閣官房のスタッフが、 これまでのように関係省庁から出向で出てきた官僚では、 とても省益を越えて国益を見据えた国家戦略的決定を下せない。 スタッフの人選及びその決定システムはどうなるのか。
  • 内閣官房に出向してきた官僚は、 現行のように同じ省や部署に戻ることはないのか。

(3)内閣府

  • 必要に応じ置くことの出来る特命担当大臣については、 これまでの縦割り行政の中ではなかなか効果的な対応ができなかった諸問題をタイムリーに取り上げ、 そして機動的に首相直轄のタスクフォースを作る上で、 その責任者として特命担当大臣が実際の指揮・監督をするというイメージで理解しているのだが、それでよいのか。
  • 内閣府の企画調整部門に民間や学者から優秀な人材を登用する人事ルールを確立すると言われているが、 そのためには年金や民間での身分保障などクリアしなければいけない課題が多いと思われるが、 これは具体的にどのようなルールであるか。
  • 官僚が省益にとらわれることなく、真に国益の下、国家戦略的に機能するため、 また省庁の相互連携を円滑に進めるためにも、 この際官僚の「一括採用」を考えてはどうかと思うがいかがか。

(4)経済財政諮問会議

  • 経済財政諮問会議のメンバーの人選は誰がどのようなシステムで行うのか。 またその決定過程、決定理由に透明性は担保されるのか。
  • 財務大臣が経済財政諮問会議のメンバーに入っていない場合、諮問会議で答申、 リポート、政策等が出され、それが財務省が望んでいる財政、 金融政策等との間に食い違いが生じた場合、どのように調整がなされるのか。
  • 予算編成時に現行の大蔵省にとって最も重要な数字は、 翌年度の経済成長の見通しである。それによって税収見積もりが出て、 予算の基本的フレームが確定する。 この翌年度の成長見通し=マクロ予測を客観的・科学的に行えるかという使命を、 経済財政諮問会議は担っていると思うが、 財政当局の介入を排除することはできるのか。

(5)総合科学技術会議

  • これまでの「科学技術会議」はいま一つ総合調整の域から抜け切れていない。 「総合科学技術会議」はどこをどう「科学技術会議」 と変えることによって戦略的な機関に生まれ変わるのか。
  • ノーベル賞受賞者の利根川博士によれば、 日本と科学技術先進国との差を生んでいる元凶とは、 最も才能豊かに脳が活動する若い世代がメインの舞台で活躍できなくしている、 大学や研究所におけるseniority(年功重視主義)だという。 総合科学技術会議は「seniorityよりもability(能力主義)」 をその政策や人事面で実践して、 研究者達の若い才能を開花させる事が肝要と思うがいかがか。

3.政策評価制度

  • 米連邦政府の行政改革は、自治体レベルでの様々な実験やノウハウが、 連邦レベルに集大成されて、GPRA法のような法律になり、 さらに全米各地に浸透している。 また英国でもサッチャー首相が就任直後に「強制競争入札制度」を導入した。 これは大変なショック療法だったが、 野田自治大臣も地方自治から行革の風を起こすべく、何か秘策があるか。

質疑要旨

畑 議員

 この質問は最後に締めくくりとして野中官房長官に伺いたいと思っていたが、 残念ながらその時間は官房長官は記者会見中なので、 いささか唐突な感は否めないが冒頭に質問させていただく。
 先週、イギリス大使館の夕食会でサッチャー元首相にお目にかかり、 行政改革をなぜかくも果敢に断行でき、成功裏に成し遂げられたのか、 直接女史に伺わせていただいた。そのお話の中で改めて、 サッチャー元首相が行革に成功した最大のポイントは、 その強固な信念に裏打ちされた意志の強さであることを痛感した。
 サッチャーの意志の強さを物語るエピソードは数多くあるが、教育相時代、 子供用ミルクの無料配布をやむなく廃止し国民から大変な非難を浴びた際、 部下がその不人気振りを彼女に伝えると彼女は、 「その政策が国民にいかに人気があるかでは無く、 そうする事が正しいかどうかが重要なのです」と部下を諭したという。
 何をすれば国民から高い支持を得られるかではなく、 何をする事が国家百年の大計に沿っているのか、 そして最終的に国民のためになるかをしっかりと見きわめ、常にそれを果敢に断行し、 そのことによって受ける様々な批判や試練にも決して屈しなかったからこそ、 サッチャーは歴史に残る大改革を成し遂げる事ができたのではないかと思う。
 今、日本が本気でこの行革を成功させようとするなら、それを断行するリーダーは、 こうしたサッチャ-の疾風怒濤の足跡を少なからず辿らずして、 頂上をきわめることは不可能ではないかと思う。
 支持率が上がることは大変すばらしいことであり、 一方にコンセンサスがなければ政治は独善になってしまうと思うが、 総理と一心同体である野中官房長官は、 サッチャリズムというこうした流れをどのように受けとめ、 今回の行政改革にどのような意気込みで取り組まれているか伺いたい。

野中広務 内閣官房長官

 行政改革は国の行政組織及び事務事業の運営を簡素かつ効率的なものにするとともに、 その機動性、透明性の向上を図り、 かつこれによって戦後の社会経済構造の転換を促し、 自由で公正な社会の形成を目指そうとするものである。
 小渕内閣は、 橋本前内閣に引き続いてこの行政改革に熱意と意欲を持って取り組んでいる。 私も小渕内閣の一員として、国政の最重要課題として、 二十一世紀に向けたわが国の経済社会の繁栄へのかけ橋として行政改革に今後とも積極的に取り組み、 その推進のために全力を尽くしていきたい。
 畑議員から国家百年の計についてお話しがあったが、 行政改革や地方分権は今回をもって完了するものではなく、 不断の改革と努力が必要であるとともに、 国家公務員はもちろんのこと国民皆さんについても十分な点検と反省と見直しを行いながら、 さらに一層この成果が上がるように努力をしていかなくてはいけないと考えている。

畑 議員

 百年の大計というよりも、 21世紀のスタートとともに始まるのだからまさに千年の大計だと思う。 ぜひ今のお言葉どおり強固な意志で改革を貫いていただきたい。  サッチャーも改革の道半ばの時に首相としての2回目の選挙を1983年に迎えたが、 そのときの失業率は過去50年間の中で最悪のものであった。 フォークランド紛争に勝利したという、 ある意味で神風か吹いたということがあるのかもしれないが、 選挙に勝利を収めることができた。 それだけ失業率を上げてしまうような行革を行えば、 通常ならば選挙には敗れていたかもしれないが、 サッチャーの「改革をやり遂げる」という意志が神に伝わったのかどうかはわからないが、 神風が吹いて彼女はイギリスを変えることができた。 野中官房長官がご答弁された通り、 ぜひ最後まで改革を断行していただくことを期待しでいる。
 ここから一般の質問に移るが、まずは内閣機能の強化、 特に内閣府と内閣官房のそれぞれの役割について主に太田総務庁長官に伺ってまいりたい。
 「内閣官房は決定の場、内閣府は知恵の場」ということをよく耳にするが、 非常に言い得て妙であると思うが、わかったようなわからないようなところもある。 以前行革会議の資料を読んだとき、内閣官房の役割は総合戦略であり、 内閣府の役割は総合調整であるとそのマトリックスにたしか書いてあったので、 そのイメージが強く残っていた。 ところが、実際法案を読むとどちらも企画立案及び総合調整を行うと書かれているが、 ここでもう一度内閣官房と内閣府の役割分担を明確に教えていただきたい。

太田誠一 総務庁長官

 内閣官房は、内閣及びその首長である内閣総理大臣を助けて総合戦略機能、 言いかえれば、国政の基本方針の企画立案機能を担い、 内閣の機関として最高かつ最終の調整の場となるものである。 内閣府は、内閣官房の総合戦略機能を助ける知恵の場として横断的な企画立案、 調整などの機能を担うものとしている。
 法案においては、内閣官房は 「内閣の重要政策に関する基本的な方針に関する企画及び立案並びに総合調整」、 内閣府は「官房を助けて行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整等を行う」と規定している。
 主任の大臣は、内閣官房も内閣府も内閣総理大臣であり、 統括をするのは内閣官房長官となっているので、 内閣官房と内閣府の役割は畑議員が言われたように多少わかりづらいところもあると思う。

畑 議員

 当初思っていたように内閣官房の役割は戦略機能であると言えるので、 案文にそのように書かなければいけないとは思うが、そのことを周知徹底し、 内閣官房では国家戦略を練るだけで、 各省庁との様々な調整はそこで行うものではない。 なぜならば、国家戦略を策定することと、 根回し・調整というその両方を一つの場で行うことは非常に無理があると思う。 多くのスタッフが各省庁から内閣官房に来ることになると思うので、 戦略的な策定機関と調整の場はやはりわけるべきであると思う。 この点に関して総務庁長官の考えを伺いたい。

河野昭 内閣審議官兼中央省庁等改革推進本部事務局次長

 畑議員ご指摘の点は、 行政改革会議においても大変時間をかけて濃密に議論されたところである。 内閣及び内閣総理大臣の補佐支援体制の強化は、統合型がいいのか分離型がいいのか。 すなわち内閣官房の総合戦略と内閣府の総合調整・企画立案を一緒にすべきか否かという議論があった。 一緒にすれば組織的にも大きくなってしまう。 総合戦略機能というのは非常にスリムな組織であることによって機動性、 戦略性が発揮されるので分離すべしという結論に至った。

畑 議員

 基本的には私が先ほど申し上げたように、 国家戦略機能と総合調整を一緒にすることは戦略的に機能しづらくなるので、 分離するという方針であると理解させていただく。
 そのスタンスに立って質問を続けるが、法案を読むと内閣官房は外交・安全保障、 予算編成、経済政策、危機管理というように本当に国家の重要課題を全て担当することになる。
 このように一番核となる国家戦略を策定する機関のスタッフが、 これまでのように関係省庁から出向で出てきた官僚では、 果たして本当に省益を越えて国益を見据えた国家戦略を策定できるかどうかは、 失礼ながら非常に疑問があるところである。
 スタッフの人選及びその決定システムに透明性があるのかどうか、 全員ポリテ2カル・アポインティ(首相の指名)になるのか、 具体的に教えていただきたい。

太田 総務庁長官

 今般の改正で内閣官房の幹部職員として新たに設置される内閣官房副長官補3人と内閣広報官及び内閣情報官については国家公務員法の適用を受けない特別職とし、 内閣総理大臣により直接に選任され、 内閣総辞職の場合は新内閣において新たな選任手続きがとられるいわゆる政治任用の官職である。
 すなわち、その内閣と総理大臣と運命を共にするということがここで言う政治任用という言葉の意味である。 内閣官房のスタッフについてはこのようなルールを新たに設けた。
 一方、内閣官房の幹部以外の職員については、内閣官房の行う企画立案、 総合調整事務にふさわしい人材を行政組織の内外から機動的に登用することができるようにするために、 各省庁からの派遣・出向先の固定化及び各省の定例的人事への依存を排除するとともに、 新たに導入が予定されている任期つき任用制度の活用等について検討し、 各省庁からの優れた人材の登用及び外部からの専門的知識を有する人材の登用を図るための措置を講ずる所存である。 よって各省庁の都合で内閣官房に出向してきている人が変わっていくということはない。
 なお、行政機関の間で現在行われている人材派遣の出向は、 受け入れ先としては専門的知識を有する優れた人材を活用できること、 出身元省庁としては出向先で幅広い経験を積んだ人材を再び活用でき、 より高度な政策判断を行えるようになるという利点があり、 各省庁から内閣官房に対して行われた人材の派遣・出向についても基本的には今後も継続していく考えである。
 私は行政改革担当大臣であるが、 行政改革を今やっている機関は総務庁であるかのように一部誤解されているが、 本当は虎ノ門に中央省庁等改革推進本部の事務局を置いている。 そこには各省から極めて優秀な若手、中堅の人たちが140人出向してきている。 河野局長はその代表であるが、 彼らはまさに今回のドラスティックな行政改革を自ら行っているので、 内閣官房や内閣府のスタッフが、 このように省益から隔絶されたところで思い切った仕事を行うことができるという実績がまさにここにある。

畑 議員

 大変きめ細かく、 そして必ず実行できるという自信に満ちた太田長官のお答えであったが、 確かにエキスパートの方がいわゆる霞ヶ関から離れて虎ノ門の中央改革推進本部に集まっている。 私もその中に将来トップになったらすばらしいなと思う方が何人もいるので、 大変優秀な方々が集まっているというのは間違いないであろうが、 その方々は恐らくまた元の省庁に戻るのではないかと思うのだが、 これについて何か規定があるのか。
 政治任用という話も出たが、確かに総理大臣と運命をともにするのだが、 その後は元の省庁に戻ってはいけないというような規定は新たに施されるのか。

太田 総務庁長官

 内閣官房に新たに特別職として定められた役職はいずれも事務次官級のポストであるので、 従来のように途中で戻って人生の相当部分をまた母体省庁で過ごすということは物理的にないと思われる。 しかし、若手、中堅のスタッフは元の省庁に戻ることがあり得る。
 ただこういう話は非公式にしていることだが、 内閣府のようなあるいは今回の省庁改革推進本部のようなところに来て、 そこで能力を発揮するということが、 官界の人たちの人生においても重要なものになってくる、 むしろそちらの方が中心を占めるようになってくるということを期待している。

河野 政府委員

 今回内閣官房や内閣府も含めてその人事運用が非常に重要だということで、 先般4月27日に中央省庁等改革推進本部でこの点を決定している。 「各省庁からの派遣・出向先の固定化及び各省の定例的人事への依存を排除する」という規定である。
 今までは内閣官房等への出向は当然何年したら戻るという前提であったが、 今回の案では、結果的に戻ることはあってもその人がそこで優秀な成績を収めればそのままそこで勤める、 というような人事運用がなされるのではないかと考えている。

畑 議員

 確かに、今回の中央省庁等改革推進本部が非常に大きな画期的な第一歩であったということはその通りだと思う。 ただ実際どうなるかはわからないが、多くの方が戻るということを前提とするならば、 やはりその中で自分の母体の省の省益、 影をある程度背負いながら仕事をしてしまうということになれば、 果たして本当に国家戦略的に物事を考え、決定できるのかという疑問は残ると思う。 これからはそれを実現していくための評価や情報公開などのシステムを整えてもらいたい。
 これ以上政令等できめ細かく決められるようなことはあるのか。

河野 政府委員

 今申し上げた話は人事運用の問題であるので、政令等で決めることはない。 ただ、内閣官房、内閣府については民間の方も受け入れなくてはいけないので、 例えば短期任用制度などを今後検討する課題とさせていただく。

畑議員

 内閣官房のところで人事システムの話はほとんど伺ってしまったが、 内閣府の方についても幾つか質問をさせていただきたい。
 必要に応じ置くことの出来る特命担当大臣の役割、 何ができるのかということをもう少し具体的に伺いたいのだが、私なりに考えたのは、 例えば今後少子化という問題がさらに深刻化していった場合、 このような省庁横断的な問題であるとか、 あるいは今高度情報通信社会推進本部という機関で検討している高度情報化の問題というのはスピードも非常に大事なファクターであり、 当然省庁横断的に進めていかなくてはいけないので、 これまでの縦割りの行政の中ではなかなか効果を上げにくかった諸問題をタイムリーに取り上げ、 そして機動的な首相直轄のタスクフォースというようなものを作って、 そこに責任者として特命担当大臣を置くというイメージを持っているのだが、 そのような理解でよいのか。

太田 総務庁長官

 特命担当大臣は、内閣の重要政策に関する行政各部の施策の統一を図るため、 特に必要がある場合に内閣府におかれ、内閣の強力な調整機能を担う職である。 特命担当大臣の任命及び職務のあり方については、 内閣機能の強化の趣旨を踏まえながら、その時々の社会情勢をも勘案しつつ、 内閣総理大臣が総合的に判断をすることになる。
 したがって、内閣総理大臣の人事権の話であるから、 こうすべきであるとかこうなるであろうというようなことは今言えないが、 そもそも特命担当大臣が置かれた理由は、 各省庁にまたがる横断的な調整を強力に行うためである。

畑 議員

 ぜひこうした新たなシステムを十分に活用して諸問題が解決されるよう期待している。
 先ほど政令について質問したときに民間の方を登用するという話が出たが、 特に内閣府の場合、 企画調整部門に民間や学者から優秀な人材を登用する人事ルールを確立すると伺っているが、 これは具体的にどのようなルールであるか。もう少し詳しく教えていただきたい。

河野 政府委員

 先ほど少し申し上げたのは、短期任用制度についてである。これは具体的には、 民間から公務員になるのであるから、格付等をどうするのかという問題、 あるいは例えば大学から役所に一遍入られた場合、 その後五年後に戻るポストがあるのかどうという問題もある。 そのようなことについてこれからどういう手当てをできるかということを検討することとされている。

畑 議員

 ぜひ優秀な人材が安心してこうしたポストにつきたいと思っていただけるような明確ルールを確立していただきたい。
 るる伺って、大分こだわり過ぎるぐらいこだわって人事の話を伺ってきたが、 私自身も駆け出しではあるが議員として仕事をしている中で、 やはり縦割りの壁の厚さ、高さというのは常々痛感している。 どうしてこんなに優秀な人たちが仕事をしていながら、 最後の最後のところで国家戦略ではなく、省益とは決して言わないが、 省の一つの枠というもの、あるいは局かもしれない課かもしれないが、 そこからどうして抜けられないのかと思うことが多々ある。
 そうした中で、 今まで多くの方が一括採用ということについて触れられていると思うが、 私も一括採用を真剣にもう一度考えていただきたいと思っている一人なので、 官僚一括採用ということについてどのように考えているのか、 総務庁長官のご所見を伺いたい。

太田 総務庁長官

 一括採用について賛同される方も多く意義のある考えであると思うが、 一方で大変な論争もあった。 現在の段階ではセクショナリズムの是正に資するという意見もあるが、 高度の専門性の維持や的確な評価に基づく人事運用等が困難になるとの意見もあり、 いまだ一括採用ということを考えるに至っていない。
 当面新たな府省ごとの採用を基本としつつ行政の総合性の確保を図るため、 「中央省庁等改革の推進に関する方針」においては、 政府全体の幹部職員等の人材情報の総合的管理システムの整備と内閣における人材登用への活用、 新たな府省間における人事交流、 それから内閣における人材登用を総合的に行うということ、 それから幹部職員に対する内閣の重点施策に関する研修、 つまり一つの理念とか考え方で各省庁の幹部職員が頭そろえをするという研修の機会を重点的に持つというようなことを考えている。
 一括採用については新たな府省体制における縦割りの弊害の是正状況等を踏まえて、 必要に応じて検討することとしている。

畑 議員

 非常に難しい問題が多く含まれているということが言外に伝わってきたが、 やはり世紀を超える節目なので、 ある意味でドラスティックな変革ということをもう一度ぜひ考えていただきたい。
 今度は内閣府の中に置かれる経済財政諮問会議について伺いたい。 経済財政諮問会議は、経済財政総合戦略の具体化、マクロ経済政策、財政運営の基本、 予算編成の基本方針の策定、さらには社会資本整備計画も行うということなので、 本当に国の中核をすべて担う大切な機関であると認識している。
 経済財政諮問会議のメンバーの人選についていろいろなところで随分論議され、 当委員会の審議においても今までに何度も質疑がされていることであるが、 誰がどのようなシステムで人選を行うのか。 またその決定過程、決定理由にある程度透明性が担保されているのか。

太田 総務庁長官

 経済財政諮問会議の構成員は、内閣総理大臣が議長となり、 内閣官房長官は必ず議員になる。 それから経済財政政策についての特命担当大臣が置かれた場合にはこの特命担当大臣は議員になる。 そして内閣総理大臣の判断ではあるが財務大臣、経済産業大臣が指定、 あるいは任命されることがあり得る。 その選定は当然のことながら内閣総理大臣がそれこそ自らの信用に関わることになるので、 責任をもって任命することになる。
 官僚がメンバーになるかについては、 現役の官僚をメンバーに入れることは想定していない。 ただし、例えば国立大学の教授とか、 あるいは国務大臣以外の国の行政機関の長などがメンバーとなることは否定されていない。 一例として、公正取引委員会の委員長などがなることはあり得るということである。

畑 議員

 財務大臣がメンバーに入ることもあると言われたが、 そうすると時の大臣の構成の仕方に関わる問題であると思うのだが、 財務大臣が入っていない場合、諮問会議で答申、リポート、政策等が出され、 それが財務省が望んでいる財政、金融政策等と食い違いが生じたときには、 どのようにその調整がなされるのか。

太田 総務庁長官

 経済財政諮問会議において調査審議される経済全般の運営の基本方針、 財政の運営の基本、予算編成の基本方針その他の経済財政政策に関する重要な事項に関する答申などは閣議決定を経て内閣の方針となるものである。 閣議決定であるので各省に対して拘束力を持つことになるので、 財務省の具体的な予算編成の事務などもこの方針に基づいて行われることになる。

畑 議員

 経済財政諮問会議の方が尊重されるということで非常に強い優位性を持つということを理解させていただいた。 そのことが担保されていれば次の質問はある意味で愚問になるのかもしれないが、 いろいろな場でかなり討議されていることなのでぜひ伺わせていただきたい。 特に、本日は宮澤大蔵大臣にご出席を賜りまして、 現大臣のお立場ということもさることながら、大蔵大臣を三度、 それ以前に経済企画庁長官を六度という非常に長期にわたってお務めされたその豊富なご経験に基づいてぜひご意見を賜りたい。
 予算編成時に現行の大蔵省にとって最も重大な数字というのは翌年度の経済成長の見通しであると思う。 それによって税収の見積もりが出て予算の基本的なフレームが確定するが、 この翌年度の成長見通し、 いわゆるマクロ予測をいかに財政の介入を受けることなく客観的で科学的に行うか、 という使命を経済財政諮問会議は担っていると思う。 財務省等の有形無形のプレッシャーがあると思うが、 それをはねのけて本当にその使命が果たし得るのかどうかというのが私自身も疑問であり、 いろいろなところで論議を醸しているが、 この点について太田総務庁長官と宮澤大蔵大臣のご見解を伺いたい。

太田 総務庁長官

 私の先ほどの答弁に補足させていただくが、 財務大臣が経済財政諮問会議の議員になっている場合には、 経済財政諮問会議そのものの中で財務省の意見も含めて十分審議が行われるので、 答申の中に財務省の意見が入ってくることになる。
 もし財務大臣が経済財政諮問会議の臨時の議員にもなっていない場合には、 閣議において実質的な調整が行われ、 閣議決定に先立って閣議の中で財務大臣との調整が行われることになるので、 意見が入らないということにはならない。

宮澤 大蔵大臣

 経済財政諮問会議がどのように機能するかということについては法律に書いてあるが、 結局は総理大臣がどのように運営していくかということによると思う。
 畑議員は現状をよくご存知なので、 ご指摘の通り経済見通し殊に名目成長率については、 租税弾性値を掛けてこれで租税の収入の大きさを決めるという建前のものなので、 各省庁間の一種の駆け引きの場になって、 妥協の産物が生まれるということもしばしばである。
 これは予算編成についてのかなり大きな要素ではあるが、 そういう機能をこの経済財政諮問会議が行うのではないか、 という意味の畑議員のご質問ですが、 どうも私の感じでは経済財政諮問会議というのはそんな小さなつまらぬことを行うようなインスティチューションにならない方がいいのではないかと思っている。 また、経済企画庁には経済審議会というものがあるが、これは大変立派な会議であり、 各界の本当の権威者を揃え時々総理大臣の諮問に答えるたり、 あるいは何年かに一遍経済計画を作るときには部会を設けて本当に多くの学者を動員して大きな仕事をするのだが、 これも経済財政諮問会議の仕事であってほしくはないという気がする。
 この経済財政諮問会議はせいぜい11人であるので、 その中には民間の学識経験者が少なくとも何名と定められているので、 役所が行うことをなぞるようなことをしても何の役にも立たないと思っている。 したがって、年に一回しか会議を開かないという考えよりは、 毎月でも総理大臣が一緒に食事でもしながらいろいろな話をしていく方が有効ではないかと思う。 そうすると、おのずから役所とは違ったディメンションで、今日本には何が必要か、 世界経済はどうなのかというような話があって、 それが総理大臣がリーダーシップを発揮するときに役に立てばいいのではないか。 そういうリーダーシップのもとに、 例えば予算編成の基本方針が論議されるというようなことが好ましいのではないかと思う。
 事務局がつまらぬ案を出すと、役人がやっていることと同じようなことになり、 それこそ屋上屋と言っては恐縮だが、そういうものに多分なってしまうのではないか。 そうならないために総理大臣がリーダーシップを間違いなく発揮するためにメンバーの皆さんから話を頻繁に聞くことができる機関であることが望ましい。
 現によく何とか懇談会いというものがあるが、 法制的な裏付けを持ったものは経済審議会というようなものになってしまい、 大変大きく満遍ないものになってしまって焦点がぼけてしまう。 しかし経済財政諮問会議は私的懇談会ではなく、 法的裏付けをも持っているが何にとらわれずに自由に国政なり世界情勢を議論して総理大臣が誤りなく国をリードするための場となることが一番望ましいのではないかという感じを私は持っている。

畑 議員

 高い志のもとにいろいろな規定を書かれたものだと思うが、 実際に運用される中で各省庁の妥協の場のような形になってしまったら本当に寂しいものだと心配していたので、 確かにそれは時の総理大臣の構成次第なのであろうが、 今宮澤大蔵大臣がおっしゃられたような本当の知恵の場、 そして中長期的展望に立って世界情勢をきちんと把握してのビジョン策定の場になることを心から期待している。
 変わって、総合科学技術会議について承りたいと思う。 こちらも総合戦略ということで今回強く打ち出されているので、 ぜひこの点について伺いたい。
 有馬大臣を前に大変失礼な物言いをいたすことをお許し願いたいが、 これまでの科学技術会議はいま一つ総合調整の域から抜け切れていない。 やはりもう一段戦略機関に脱皮しなくてはいけない。 有馬大臣も大臣になられる前におっしゃられたことだと思うが、 どこをどう科学技術会議から変えることによって戦略機関に生まれ変わるのか伺いたい。

有馬朗人 文部大臣科学技術庁長官

 いろいろな観点から畑議員の質問に答えることができるがまず機構上の問題では、 常勤の議員を二人から四人にし、全体でも十人から十四人に増員する。 さらに、生命倫理や環境に科学技術がどのように影響を及ぼしていくかという観点を考えると、 どうしても人文や社会科学の方たちを入れなければいけないので、 そういう点での工夫がされている。
 さらに機能的な面で言えば、 今までの「科学技術会議」は内閣総理大臣の諮問を受けて初めて答申するということが任務となっている。 それに対し「総合科学技術会議」は、 科学技術に関して総合的かつ計画的な振興を図るための基本的な政策、 予算、人材等の資源の配分の基本方針について調査審議するほか、諮問を待たずに意見を述べることができるようになっている。 この諮問を待たずに意見を述べるということが非常に重要で、 会議の自主性、機能の強化を大いに図ったものである。

畑 議員

 戦略的な機関によみがえっていただくよう期待している。
 総合科学技術会議のメンバー構成についても伺いたいが、 非常に高い見地から物事を検討し判断しなければならないとなると、 それだけ豊富な経験が必要であるというのは理解している。
 例えば、先日ノーベル賞受賞者の利根川博士とお話する機会を得たときに、 なぜ日本がなかなかノーベル賞を獲得できないのか、 その彼我の差は何なのかということの一番の問題は、 日本では一番脳が活発に活動する若い世代が研究所なり大学なりのメインの舞台で活躍できないことにある。 一言で言えば、セニョリティーという年功重視主義が濶歩して、 アビリティーという能力による判断がなかなか、 特に人事構成について行われていないということが非常に大きな足かせとなっている。 本来、日本人は非常に優秀な国民であるにもかかわらずなかなか結果が出ないのは、 そこに問題があるからだというご指摘をいただいた。
 この総合科学技術会議のメンバー構成は、若い世代も入るようなものになるのか、 また若い世代をエンカレッジするような政策を出し得るのかということについて伺いたい。

有馬文部大臣 科学技術長長官

 総合科学技術会議そのものには極めて若い人が入ってくることはないと思う。 やはり総合的に広い面から経験豊かな人に入っていただく必要があると思っている。 しかしながら、 常に若い人の意見を聞くということについては努力をしていかなければならない。
 なお、最近は極めて若い人たちに日が当たるように努力をしていると思う。 大学あるいは私が勤めていた理化学研究所などの教授や主任研究員などの最も主要な地位に、 三十代の人が相当つくようになってきているので、 そういう点では随分利根川先生が言われていた状況とは変わってきていると思う。 また、科学技術庁及び文部省にしても、 若手研究者に対して研究テーマやスペース等をどんどん与えていこうではないかと考えている。
 現在いろいろ指摘されることがあり、 なるべくそれを直す方向で進んでいくつもりである。 そういう意味で若手を大いに起用していきたいと思っている。

畑 議員

 次に政策評価制度について若干伺わせていただきたい。
 昨日入沢議員から既に評価制度について、 各官庁の中で自分たちで自分たちの評価ができるのかという質問があったが、 これについてはそれが機能するようなシステムを今後整えていくということで理解させていただくが、 やはり行政評価ということをきちんと規定した法律が今後必要になってくると思う。 この点について衆議院の附帯決議にも「行政評価法」ということが書き込まれている。
 米国の連邦政府というのは、93年にウィリアムス・ロス議員から提案されて、 「ガバメント・パフォーマンス・アンド・リザルツ・アクト(GPRA法)」 という行政評価法が採用されている。米国はそれぞれの地方自治体で行政評価をさまざま試行し、 非常に目をみはるような成果を上げたところもある。 そうした地方でのさまざまな評価法を積み上げて、 最終的に93年の「ウィリアム・ロス法(GPRA法)」ができ上がったと伺っている。
 また冒頭にサッチャー女史の話をしたが、 英国でもサッチャー女史が首相就任直後に強制競争入札制度という非常にドラスティクなシステムを導入し、 これが大きな行革の風を起こす一つの原動力となったと伺っている。
 そういう意味で、 地方自治体から行革の風を起こすことがこれから必要になってくると思うが、 サッチャー女史のこのドラスティクな方法に勝るとも劣らない野田自治大臣の秘策があったら、ぜひ教えていただきたい。

野田 自治大臣

 なかなか秘策というのはないが、 冒頭に言われた通り改革はそれをやり抜くという強い意志があれば、 その意は通じていくものであろうと私も思っている。
 そういう点で行政評価のやり方についてアメリカの例を出されたが、 私は自治省が地方行政に関する行政評価法をつくることを勉強していかなければいけないと思うが、 今既に三重県や静岡県等の多くの自治体で、 みずからの手で住民にもわかるような形で、住民監視を強めていき、 さまざまな行革を達成していくあるいは行政評価をしていくというこが行われている。 したがって、まずそのような努力をぜひバックアップしていきたい。 また、その積み上げの中で各々の地方公共団体との間の比較ができるよう、 自治省としても勉強していかなくてはいけないと思っている。

畑 議員

 野田大臣から比較検討という言葉をいただいたが、 サッチャー政権を引き継いだメージャー首相もいわば全国の地方自治体の通信簿のようなものを作って、 それぞれの基本的な行政サービスに点数で評価をつけ、それを全国に発表した。 そうすると、自分たちの方が点が低い、これはいけないといって頑張るようになる。
 情報公開というのは、 いろいろなところで大臣のご努力が実って進んでいると思うが、 単に公開、評価しておしまいというのではなく、 そこに通常では行政の中にはあり得ない擬似的な競争システムを政治の力で現出させる、 それによって効率化を高めるということが行革の一番の基本であると思う。 私は日本でも「行革は地方から」であると期待している。

質疑の持ち時間が少なく、準備していた質問を全てすることはできませんでした。 以下に準備していた質問の項目だけを列挙させていただきます。

<政策評価制度>

Q.  一般には、各省庁に政策評価を担当する「課」を作って評価に当たり、 また複数の省庁が関係する政策や国策上非常に重要な政策については、 総務省に担当の局を設置して担当させると聞いているが、 自分の省庁のパフォーマンス評価を、官僚が自分たちで行って、 果たして客観的で厳格な評価が実行されるのか。 同じ役所の官僚が一方で政策を作って、 他方で評価するわけだから、「お手盛り評価」となる危険性は十分にある。 はたして本当に同僚や先輩が行った仕事に対し、場合によってはダメといえるのか。

Q.  総務省に民間の有識者で作る「評価委員会」を設けると聞く。 この委員会が各省庁の評価内容を審議し、問題があると判断すれば総務大臣に答申、 さらに総務大臣は、当該大臣に勧告を出せるということだが、 この委員会のメンバーはどのように選ばれ、またどれだけの権限をもつのか。

Q.  衆院の付帯決議にも、その制定への速やかな検討着手が記された「行政評価法」。 米国連邦政府には’93ウイリアム・ロス議員から提案され法制化されたGPRA法(Government Performance and Results Act)がある。 このGPRA法は、各省・各部局は自らの存在の目的、 あるいは個々の施策の目的が国民にとってどういう意味があるのかを示し、 また同時にどんな成果を達成しようとしているのかを数値目標の形で示した戦略計画を立てなければいけない、 というところから定められている。 行政サービスを受ける国民を完全に「顧客」と見て、 民間企業の経営ノウハウを最大限行政に導入する仕掛けを実現しているわけだが、 我が国の「行政評価法」もこのようなことを想定しているのか。

Q.  サッチャーに続くメージャー政権も、基本的な行政サービス業務について、 自治体のサービスレベルをいわば通信簿のような形で全国に発表するといった仕組みを導入した。
 情報公開に評価を絡めて、 擬似的な競争原理を導入するというこのような評価システム (あるいは別の評価システムでも結構だが)を地方自治体に導入することについて、 野田大臣はどう思われるか。

<独立行政法人化>

  • 英国におけるエージェンシーの創設
    それまで大規模官僚組織の末端で硬直化し、非効率を余儀なくされてきた執行組織に、 一定の「権限」と「独立性」を与え、 また潜在的競争状態に置くことで、業務の質の向上と効率化を実現しようとした。
  • 日本における独立行政法人の創設
    予算の弾力的運用(費目間の流用、翌年への繰越、寄付の募集) など「権限」と「独立性」という新たに付与されたメリットが、 余り理解されないまま、公務員としての身分が不安定になるのではないかとか、 格下げになるのではといった誤ったマイナスイメージが先行してしまっている。

Q.  独立行政法人化の本来の意義やそのメリットに関する衆知が徹底していないようだが、 広報面での更なる努力や工夫が必要ではないか。

  • 政策”決定#部門と「執行」部門の分離
    英国-政策「決定(策定)」部門と政策「執行」部門を分離し、 それぞれに権限を集約させることが、すべての基礎にあった。この大方針によって、 組織活動の大半を占める執行機能に改革の焦点が当てられることとなった。

Q.  このような行革のコンセプトを見据えることなく、 単に政府機関のボリュ-ムを縮小できるからという皮相的な理由だけで英国のエージェンシー制を模したとしたら、その成功は望めないだろう。
 そもそも英国では、エージェンシー制を導入する以前に、 民営化できるものは民営化し、規制緩和できることは規制緩和した後、 文字通り「ネクスト%ステップ」として、エージェンシー制をスタートさせた。
 文化や民族性の違いはあるものの、 彼我に在るこの言わば行革に対する「腹のくくり方」の違いを、どう受けとめるか。

Q.  美術館や博物館は、国立(National)というタイトルがついていることによって、 各国を代表するミュージアムとバーターで、 作品を借りることが可能になる。 こうした機能の特殊性に鑑みてのタイトルのあり方が必要だと思うが、 十分考慮は為されているか。