逓信委員会(平成9年3月27日)

質問テーマ

[情報通信分野への公共投資の必要性と政治のリーダーシップ]

質疑要旨

畑 議員

 私は本日、情報通信分野に対する平成9年度予算案、 その中でも特に公共投資関係予算の配分を検討しながら、 21世紀に向けた我が国の情報通信政策のあり方やビジョンについて伺って参りたい。
 現代はまさに情報化時代である。情報通信分野では、 日進月歩どころか秒進分歩と言うべきスピードで革命的な変化がもたらされている。 そうした中、高度情報化の波にどれだけ乗り切れるか、 さらにこうした情報革命をどのようにリードしていくかというのがその国の国力を決定する最大の要因になっている。 資源を持たずにしかも国土の狭い日本にとっては、 まさにこの情報通信産業こそが21世紀における国家の主力産業と言って異論の余地はないであろう。

 したがって、只今もあらゆる聖域を排して行政改革を断行している最中だが、 やはりこの分野の育成、 発展には何にも増して重点的な配慮がなされてしかるべきである。 またそれが今なされなければ、 これからますます世の中がボーダーレス化していく中で、 21世紀に向けて我が国は国際競争力を決定的に失いかねないということが危惧される。

 そこでまず、今回の9年度予算案における情報通信分野の予算、 その各省庁にわたっての総額と前年度比をお教え頂きたい。

郵政省

 平成9年度予算の郵政省情報通信関係一般予算について、総額837億、 対前年比32.5%の増となっている。

大蔵省

 何をもって情報通信関連予算と言うのかは難しい。 今年3月4日に高度情報通信社会推進本部有識者会議というのがあり、 ここで情報通信の高度化に資する施策というものが出された。 これを各省庁足し上げると1兆4822億円となっている。 8年度予算における数字から見ると14.7%増になっている。

畑 議員

 一般歳出の伸びが今回かなり抑えられて1.5%増になっている中で、 14.7%増というのはかなりの伸びだと思われる。 特に郵政省の対前年度比32.5%増というのは非常に飛躍的な伸びで大変素晴らしい。 しかし、この分野に関してはこれ以上の努力が望まれ、さらなる発展が期待される。
 では次に、この情報通信関係に対する公共投資予算比率について伺いたい。 公共投資予算の全体に占める割合はどれほどか。

大蔵省

 公共投資の総額として、 一般会計の歳出を経常部門と投資部門に分けた場合の投資部門の数字をお答えする。 9年度予算において、11兆7123億が投資部門の歳出の合計である。 そのうちの情報関連部分というのは、数字をもちあわせていない。

畑 議員

 郵政省の方、こちらのことに関してよろしければ。

郵政省

 予算総則の第七条で公共事業費の範囲を限定列挙しているが、 郵政省関係でその公債発行対象経費たる公共事業費は、 平成9年度政府予算原案で10兆2695億となっている。 先程の大蔵省と数字の根拠が違うかも知れないが、 私共の調べではそのような数字である。よって先程申し上げた郵政省の837億のうち、 公共投資予算額は228億であり、全体に占める経費は0.22%ということになる。

畑 議員

 私が大蔵省に対して質問通告をしたのは、昨日である。 内部でどこが所管するのかというやり取りがあったようだが、 公共投資予算の中には、“情報通信分野に関する予算”という項目が確かにあるので、 「数字がない」とおっしゃるのは、解せない。積算すれば、出せる数字のはずである。 時間がなかったと言うのなら、後刻でよいので積算して出して頂きたい。
 只今郵政省の方からは、0.22%というお答えであった。 公共投資になると情報通信に関する予算がいかに低いかというのは、 この数字を見てもよくおわかりかと思う。例えば、建設省が出している資料で、 「重点投資を行う分野の明確化」の中の『マルチメディア社会等新たな経済・社会構造の創出』の部分を見ると、 公共投資の中で9年度予算額が1752億円、8年度予算額が1130億となっているので、 55.1%増ということである。これを見ると、 公共投資に関しても情報通信分野というのは重点配分がされていると理解できる。

 しかしながら公共投資予算全体の中で比較すると、 先程の郵政省からのお答えのように情報通信関連の比率はかなり低くなっている。 確かに、日本政府のこれまでの情報通信分野に対する考え方というのは、 「民間の投資によって十分に育ち得るものだから、公的に支援する必要はない」 ということだったが、 しかしそれは「もともと公共投資の対象とされてこなかったから少ない」 ということでもある。

 アメリカのゴア副大統領が提唱したNII、GII、 いわゆる情報スーパーハイウェー構想を例にとると、 こちらの方では将来を見据えた国家プロジェクトとして、 情報インフラ整備にどんどん公的資金を投入している。 これは別に米国に限ったことではなく、例えばシンガポールやマレーシア、 フィリピンといった東南アジアを始めとして、先見性のある国々では、 世界の趨勢となっている。

 確か4年前、日本の総合経済対策の中においても、 政府部内では従来の社会資本に対してより効果の高いと思われる新社会資本をめぐり、 議論が展開されたと聞いている。 その際、情報通信分野への投資が有力候補として検討されたはずだが、 今はどのようにそれを認識していらっしゃるのか。 そしてこの分野のGDPを押し上げる乗数効果であるが、 現在のところ、どの程度と見てらっしゃるのか。

経企庁

 まず乗数効果について、「当方の世界経済モデルを用い、 実質の公共投資を継続的に実質GDPの1%だけ増加させた場合に実質GDPが何%増加するか」 を乗数効果と考えるとする。効果を表す乗数を求めると1年目に1.24、2年目1.40、 3年目も1.40となる。2年目が1年目より高くなるのは、 乗数効果が出尽くすまでに時間がかかるため、 1年目は全部出ないで2年目にずれ込むからである。

畑 議員

 では、1.20から1.40という数値は一般の公共投資と比較してどのような評価になるのか。 高い、低いという形でお答え願いたい。

経企庁

 私共でやっておる世界経済モデルにおいては、 全ての公共投資と言うことでやっている。 もとになるモデルなので色々なデータを加工して投入するわけだが、 その時に「公共投資の部門別」の形では、うまく機能する形のデータがそろわない。 だから「トータルの公共投資」ということになる。 したがって、どの分野でいくらというのは、計算が不可能である。

畑 議員

 私は乗数効果1.2から1.4が一般的だと伺っている。そうした観点からすると、 一般の公共投資と情報基盤整備に資するような公共投資はさほど変わりがない。 計算の仕方によっては、情報基盤整備の方が景気浮揚の効果は高いという試算もある。 どちらが高いかという事に関しては、3~4年前に議論が沸騰したところであるので、 これ以上深く追求はしない。
 要するに、乗数効果という点から見ても何ら遜色のないのが情報通信分野であり、 しかも昨今、社会的ニーズから見てプライオリティーが格段に高くなっている。 私はこの情報通信分野にもっと公的なサポートを積極的にして頂きたいと思う。 是非、文字どおり国策としての取り組みをお願いしたい。

 そこで、情報通信分野を率いていく郵政大臣の御所見、意気込みをお伺いしたい。

郵政大臣

 先程からご指摘頂いている通り、 私も「情報通信産業が世界経済構造改革の中心になる」と考える。 アメリカでは情報通信の「大競争時代」は既に過ぎて、 今は「戦国時代」と表現されている。 そうした状況と比較すると「日本は少し立ち後れている」と言えるだろう。 現在、日本においても高度情報通信社会推進本部を設置し、総理大臣を本部長、 郵政大臣を副本部長として取り組んでおり、情報通信の今後の推進については、 閣議で協議している。
 そのような形で昨年の予算編成に当たり、 基礎科学研究あるいは情報通信基盤などの整備について特別措置がなされた。 その結果、 郵政省は今年度の予算編成で32.5%という大幅な予算拡大を認められたのである。

 これからも私共は、 このネットワークインフラの整備について積極的に進めていななければならない。 更に各省連携のアプリケーションの開発あるいは活用なども、一層努力していきたい。 立ち遅れている情報通信の技術研究、 こういうものもそれぞれ民間の皆様と産学一体となって、今後更に努力して参りたい。

畑 議員

 大臣の大変心強い、力強いお言葉に御礼申し上げる。 是非更なるご努力をお願いしたい。
 では、こうした情報通信分野の事情を踏まえて、 公共投資について提言させて頂きたい施策がある。 私は、建設国債の発行対象である公共事業としてこの情報インフラに関する費目も認めるべきだと考える。

 例えば、今、ある公的な建物を建てるとすると、 その建物の建設費用は当然建設国債の対象になる。 しかしそこに配備されるパソコン、建物内にめぐらされるLAN設備などは対象外になる。 建物にしても、このようなLAN設備にしても、 公共事業の対象範囲として規定される「資産として後世に残るもの」 という事には変わりないはずである。

 そこでどういうものが対象になり、どういうものが対象外なのかを調べたところ、 例えば照明設備、空調関係、それからトイレ、 こうしたものは建物に付随するとみなされて対象になるということである。 確かに数年前の感覚では“LAN”等というのは特別なもので、 「建物に付随するものではない」という感覚もあったのかもしれない。 しかし、今はほとんどのビルがインテリジェント化されている。 現代人の暮らしの中でマルチメディアは、 冷暖房や明かりと等しく生産活動に欠かせないものである。私は、 是非とも建設国債の対象に情報インフラ整備というものを加えて頂きたいと思うが、 いかがか。

大蔵省

 先生もご存じのように、 財政法第4条1項但し書きがいわゆる建設公債の発行の根拠規定である。 第4条1項但し書きは、公共事業費、出資金、貸付金の財源にする場合に限り、 その建設公債の発行を認めている。これは先生が先程おっしゃられた通り、 これらの経費の支出により資産が形成され、 その資産からの受益も長期にわたることから建設公債の対象になっているものである。
 このような財政法の趣旨に鑑みると、 建設公債の対象となる公共事業の範囲については、 従来から公債を発行するにふさわしい性格と一定の耐用年数を要する経費に限定している。 パソコンなどの機材については、建設公債の対象にはしない根拠である。

 仮にこれまで建設公債の発行対象経費とされていない経費を対象として公債を発行することになれば、 それは財政法に規定している建設公債の原則を事実上放棄することに他ならず、 財政法の基本を変えることにことになる。 従って今後もこのような考え方に立って、対処していきたいと考えている。

畑 議員

 大蔵省の方のお答えは大体予想できたことであるが、 では、郵政大臣はこのことについていかがお考えか。

郵政大臣

 私は只今の畑先生のご指摘を大変大事なことだと考える。 大蔵省の今の答弁はがんじがらめの古い考え方である。 これはやはり今から我々政治家が取り組んでいかなければならない問題である。
 昨日、NHKの会長にお会いしたので、 「NHKは日本の優れた放送技術をどんどん外国に出すべきだ」と申したところ、 「盛んにやっております。」というお答えであった。 しかし「ハードである放送局を作るまではODAを利用してつくるが、 肝心の番組などといったソフトはODAの対象にならない」ということであった。 「外務省の経済協力局長にもお願いしたが、どうせ聞いてもらえないので、 結局ハード面は日本が作ったが、 あとのソフト面は全部ドイツあるいはフランスの番組で放送される」というのである。 私はそれを聞いて、「今後検討すべきである」と痛切に感じたところである。

 畑先生のおっしゃるようにどれがハードでどれがソフトか、 今頃そんな建設国債と言うけれど、どれも厳密な区別はできない。 今後の予算編成というのは、 今のような考え方を改めながら考え直していかねばならない。 私も畑先生の考え方と全く同感である。今後は大蔵省に対しても、 また我々の閣議の中でも申し上げていきたい。

畑 議員

 誠にご見識高く、勇気づけられる答弁である。 では続いて、もういくつか質問して参りたい。
 さて「これまで通りのお答え」というお話が大臣の答弁の中にもあったが、では、 どのくらいの期間「これまで通り」を続けているかという事について考えて見る。

 公共事業がかなり硬直化している、 あるいは予算配分が硬直化しているというのことは、いろいろな分野で言われている。 そしてこちらにあるのは、昭和40年からの公共事業に関する資料(大蔵省作成)である。

 事業別のシェアを拝見すると、時代の移り変わりによりある程度の変化がある。 時代の流れに伴ってニーズも変化するので、これは当然である。 しかし所管別シェア、つまり省庁別シェアは昭和40年から30数年間、 ほとんど変化していない。中には1%の違いもないくらい変化がない。

 昭和40年というと私が生まれて間もなくである。生まれたばかりの赤ん坊が、 こうして参議院逓信委員会で質問をさせて頂くらいの年月が経っているわけである。 当然、昭和40年にはマルチメディアのマの字もない。 そうした時代から省庁別のシェアがほとんど変わらない公共投資というのは、 いささか問題があるのではないか。先程の大臣のお言葉にもあるように、 これは抜本的に見直していくべきではないのか。 情報化時代にマッチした予算配分を是非お願いしたい。

 さて、各国が情報インフラにしのぎを削っている中、 日本が遅れをとってはならない。 先程、ゴア副大統領が提唱したNIIの話を例に引いたが、 私は日本版NIIと言えるようなものを早急に提案し、実現して頂きたい。

 このためには、やはり各省庁を横断的に管轄できるタスクフォースというか、 機動部隊のようなものが必要なのではないか。 当然、全体を実質的にリードしていくのは郵政大臣であろうと思うが、 何を置いても各省庁との連絡を密にしていただく必要があると思う。 この点につき、郵政省のお考えはいかがか。

郵政省

 米国がNII構想、情報通信スーパーハイウェイということで、 ゴア副大統領が提唱されたようだが、 クリントン大統領はこれを大々的に国家の情報通信戦略として打ち出している。 これが世界中に衝撃的なインパクトを与えた。これからはグローバル化、 情報通信基盤というのが21世紀に向けての一つの大きな産業となる。 「これを基盤にしてどう大競争時代に勝ち残っていくか」 大きなアメリカの戦略として、いかに情報通信のウェートをつけているかという事がまざまざとわかった。
 我々も、大臣が先程答弁いたしたように平成6年であるが、 総理大臣を本部長とする情報通信本部というものを作った。 NII構想においても、タスクフォースということで、 それぞれの省庁を集めたスーパーハイウェイ構想の取り組みが全省庁、 政府として一体となって取り組んでいるわけである。 私共も高度情報通信社会推進本部ということで、総理大臣を本部長とし、 郵政大臣通産大臣を副部長とする、 内閣を挙げて政府一体となって情報通信の高度化に取り組んでいくんだという体制を整えて、 準備を着々と進めておる状況である。

 勿論政府全体の話であるが、 我々自体としてもこの9年度の予算で計上されている経済構造改革特別措置 (これは経常経費ということで組まれている)は、 ハード・ソフトに関わりなく使うことができる。 まさにこの情報通信基盤にとっては非常に使い勝手の良いお金が認められているのである。 遅ればせではあるが、日本でも「情報通信にとって使い勝手の良いお金」あるいは 「メリハリをつけた予算編成」に向けて動き出したと言える。

 それから、個別のパイロットのプロジェクトについても、 大臣が申したように例えば、 農水省とマルチメディア・パイロットプラン構想ということでモデル農村地域事業、 あるいは文部省としても学校教育、大学キャンパスのパイロット事業といったような形で、 私共情報通信を担当している省庁が頭出しの部分あるいは研究開発の大切な部分をお手伝いし、 それ以外にインフラのお金を持つ各省庁がドッキングして効果的一体的な施策を全国展開できるような形で、 しっかりとした情報通信の高度化に取り組んでいる。

畑 議員

 内閣総理大臣をヘッドにした高度情報通信社会本部の存在については、 私もよく伺っている。お言葉通り、是非推進して頂きたいと思う。 ただこれは広報の問題かもしれないが、 アメリカやマレーシアのように華々しくその動きが伝わってこないのが現実である。 これは国のイメージアップや国威アップつながるので、 国内外にアピールして頂きたい。 そうした広報の面でもご努力頂きたいがいかがお考えか。

郵政省

 先生のご指摘通り、私共が海外に行って外国の方とお話しすると、 アメリカのNII構想、情報通信ハイウェー構想などがすぐに話題にのぼる。 マレーシアはアメリカに比べると小さな国であるが、 マハティール首相の提唱したマルチメディア・スーパーコリドーというようなプロジェクトが知られている。 これは国家プロジェクトのネーミングがうまいからだとも言える。
 ところが我々が外国に行くと、 さっき申し上げたことを一所懸命外国の人に伝えようとする。 ところが、汗水垂らして各省庁が情報通信の高度化に取り組んでいても、 またそれを説明しようとしても、 それをまとめて何だというのがないのでなかなか理解して頂けない。

 そういう意味では、今、沖縄の振興と言うことで、私共情報通信関係で、 沖縄の国際都市形成に、あるいは日本の情報通信の高度化に、 あるいは世界の中に伍していく、そういったものができないかということで、 マルチメディア特区構想というものを出している。この言葉は、 昨年総理が沖縄に行ったとき総理の口から出た言葉である。 我が国も情報通信の国家プロジェクトみたいなものが政府の方々の口から言葉となって出てくれば、 日本の情報化の中身が世界の人々にも理解していただけるのではないか。 これについては、情報通信ビジョンを電気通信審議会にかけて審議している。 郵政省だけの問題ではなく、国としての話になろうかと思うので、 情報通信本部での議論も踏まえながら、 外国にもすぐに理解していただけるような努力をして参りたい。

畑 議員

 私自身も「日本版NII」とか「日本版スーパーコリドー」 などという言葉を口にするたびに切ない思いをしている。 なぜなら本来、アメリカが「米国版・・・(日本のプロジェクトの名)」 と自らのプロジェクトを命名してもおかしくないほど日本の技術力や人材のポテンシャルは高いからである。
 ただ、そういうネーミングの問題一つをとっても非常に象徴的だが、 例えばアメリカの場合、商務長官がヘッドになって、 色々な省庁にまたがるタスクフォースを率いている。 日本の場合、その立場は総理が兼務しているわけだが、総理は非常にお忙しい。 そうした中、高度情報通信社会の推進に関しては、 総理を完璧に補佐するスタッフが必要なのではないか。今のまま進めていっても、 誰がリーダーシップをとるのかというのは見えてこない。

 というのは今回、「情報通信の高度化に資する施策の予算を教えて下さい」 と資料を請求したところ、 「これは内閣内政審議室がまとめている」というお答えが返ってきた。 ところが内閣内政審議室の方では、 まとめはするがご自身が何らかの提言を示して各省庁を率いていくというわけではない。 内閣内政審議室は「事後報告をきちんと受けて、それを積み上げている」と言う。 では一体どこが日本の情報通信政策を強力なリーダーシップでリードしているかというと、 はっきり見えてこない。やはり中心になるのは郵政省と、 産業分野は通産省ということであろう。ならばそれらを一元化し、 どなたかにリーダーシップを発揮して頂きたい。これは情報通信分野に限らず、 21世紀の日本を考える上で欠くべからざるポイントだと思う。 私は先程の力強いお言葉通り、是非堀之内大臣に牽引役をお願いしたいので、 大いなる期待とともにご本人の御所見を伺いたい。

郵政省

 アメリカのNII構想の推進については、情報基盤タスクフォースというのができている。 その下に電気通信情報庁(NTIA)があり、ここが取りまとめ事務局になっている。 またその横にはNII諮問委員会というのがあり、民間各界の27名が入っている。 さらにその下にそれぞれ電気通信政策委員会、情報政策委員会、 アプリケーション委員会があり、国防省、司法省、内務省その他の省庁がある。
 日本の場合は、先程申したように総理大臣を本部長とするが、 事務局は一応内政審議室である。勿論、情報等の中身ついてはよく連携を保ちながら、 事実上、私共の情報を提供して動いている。やはり先生のおっしゃる通り、 間接的な動きにならざるをえないというのが現状である。

 今回の先生のご質問、よく承りまして、また機動的、積極的に動ける事務局 になれるよう考えて参りたい。

郵政大臣

 ただいま木村局長からも答弁いたした通りである。 総理は情報通信の分野に重大な関心を持っており、 私も個別に2回も呼ばれて指示を受けている。 今後私共は先生のご指摘を踏まえながら、 これからの日本の情報通信の発展に努力していきたい。

畑 議員

 組織形態としては総理がヘッドだが、いろいろお忙しいときには、 郵政大臣が代理として躊躇することなくリーダーシップを発揮して頂きたい。 確かに橋本総理のツルの一声でNTT問題に決着がついたという例もあり、 これまでにもそのリーダーシップは様々な場面で発揮されていることと思う。 しかしこの分野は郵政省の方々がこれまでいろいろな積み上げの中で幅広い知識、 見識をお持ちの分野であると拝察するので、 積極的に事務局をリードしてゆくべきである。 アメリカを凌駕するような形の日本版NIIを是非実現させて頂きたい。
 ありがとうございました。