質問テーマ
[評価制度の充実]「ODAに関する決議」の会計検査結果に対する審議 質疑
質問のポイント
今日、政府開発援助に限らずあらゆる行政の場面において、 より良いパフォーマンスを行なうためには適切な「評価」が何より不可欠であると強く認識している。
中央省庁の再編にあたり、政府内にも行政評価システムが構築されつつあるが、 どのようなシステムを作り、どのような方法を取れば良い評価を行なえるのかという “How”を問うにあたってはその前にまず、そもそも「何のため」 に評価を行なうのかという目的(For what)について徹底して検討し、 明確な目標設定を行なう必要がある。
1. ODA評価の目的
先日、個人的にも米国の政府機関や大学を訪れ、 研究評価制度について現地調査を行なったが、 どの組織も実に厳正かつ緻密な評価制度を作り上げており、 また、実際に評価にあたる人たちが、 評価を行なうことに対して非常に大きな責務とやりがいと誇りを持って業務にあたっていた。
米国の各研究機関が充実した評価制度を構築し、 各評価者が高い意識を持ちえた理由は大きく二つあると思う。
一点目は、何故評価をしなければならないかという目的意識がきわめて鮮明であるという点。 もう一点は、評価結果が研究予算の配分などその後の政策に反映されるシステムが、 しっかりと出来上がっているという点。
今回の報告書にもODAの評価目的について、(1)「ODAが効率的・効果的に実施されているかを検証」し、 (2)またその「評価結果をフィードバックしてODAの質の向上をはかる」とともに、 (3)「結果を公表することによりODAの実態や成果を国民に明らかにする」 ことと記載されているが、主旨としては米国の目的意識と同様と考えてよいか。 また、米国の評価制度についてどのように認識していのるか合わせて伺いたい。
2. ODA評価の数値化
日本国民に最大のベネフィットを還元できる、 より効果的なODAとはどのような援助かと考えた場合、
(1) 地域住民自身の満足度(食料・衣料品など)
(2) 地域の自立的な発展への効果(技術・教育援助など)
(3) 援助国政府からの評価
(4) 予防外交(紛争防止)的な効果
(5) 環境保護的な効果
(6) 国際舞台におけるプレゼンスやプレスティージへの効果
など、様々な評価視点・項目が想定される。
しかもこうした項目の評価結果を客観的な数値で表し、 それぞれのODAの効果をどれくらいかと判断するのはきわめて困難なことと思うが、 どのようにこの課題に対処されているのか。
3. 評価結果の公開
今月9日の与党三党政策責任者会議で、 来年度予算編成でODA予算を大幅に見直し削減すると合意がなされ、 しかも自民党の亀井政調会長がその削減目標について30%と数値まで明示した。
このような逆風がODAに吹く背景には、 評価項目に関してこれまで評価結果が明確に示されていなかったため、 わが国のODAが国民や国家にどのようなベネフィットをもたらしたのかが判断できず、 結果としてはたして現在行なわれているODA予算は国益に叶った配分額であるかという点に大きな疑義が生まれているのだと思う。
やはりこうした疑義を払拭するためにも、 評価自体の方法や評価結果の公開方法をもっと工夫し、 国益や国民益にどれだけODAが貢献しているかをもっとわかりやすく提示すべきだと思うがいかがか。
4. 評価人材のデータベース化
適切な評価者を必要な期間に必要な人数分確保するため、 米国の研究機関や大学などでは人材バンクのような電子的なデータベースを構築し、存分に活用していた。
現在も評価業務にあたってはシンクタンクやコンサルタントに依頼したり、 NGOなどと共同で調査・評価を行なっているようだが、こうした分野で活動している人たちについての電子的なデータベース化、 ネットワーク化は既になされているのか。
適切な人員の確保という点はもちろん、 質の高い調査や評価をより効率的に行なうという意味でも、 電子的なデータベース化・ネットワーク化は大変な威力を発揮するのでぜひ早期に実現してもらいたい。
5. ODAの評価結果に対する国民からの評価の調査・分析
外務省のサイトでODAの評価結果を公開しているが、 自分が支払った税金が世界の人たちのため役立っていることが手軽にわかることは有り難く、 ODAに対して前向きな認識を国民間に醸成するには本当に有効な手段である。
この評価結果ページに体する意見を含め、ODAの評価結果に対する国民からの評価については調査・分析しているのか。 また、国民の皆さんのわが国のODAに対する評価はいかなるものと判断されているのか、合わせて伺いたい。
6. 評価者の選定方法
正しく質の高い評価を行なう上で、適切な評価者の選定と確保は重要な課題である。 報告書には第3者の積極的な活用が謳われているが、 評価の客観性・中立性・透明性を担保するという意味でも、 また専門的な知識や経験を補うという意味でも、 是非その方向で評価を実施してもらいたい。
ただ実際に、適切な評価者を十分な人数と時間だけ確保するというのは、 容易いことではないと思うが、現在はどのように採用しているのか。
7. 評価結果のODA政策へのフィードバックの方法と具体例
ODAの評価結果は、今後のODA政策へどのようなシステムで反映されているのか。 過去に評価結果のフィードバックが行なわれた代表的な事例を上げて、 できるだけ具体的にご説明を頂きたい。
質疑要旨
畑 議員 今回の報告書にも評価制度に関する近年の動向として、「わが国のODAについては、 厳しい財政状況に伴うODA予算の削減に対応して量から質への転換が強く求められ、 より効率的・効果的な援助の実現のため、評価制度の重要性は益々高まっている」 と記されている。私自身も、今日、 政府開発援助に限らずあらゆる行政の場面において、 より良いパフォーマンスを行なうためには適切な「評価」 が何より不可欠であると強く認識している。
中央省庁の再編に当たり、政府内にも行政評価のシステムが構築されつつあるが、 日本は、どのようなシステムを作るのか、 どのような方法を取れば良い評価ができるのかという“How” の部分をすぐに問いたがり、そもそも何のために評価をするのか、 目的は何なのかという“For what”を余り検討していない側面が強い。 より良い“How”を模索して制度改正を繰り返すのだが、 本来の目的が明確でないがゆえに満足感が得られないということがこのODAについても起きているのではないかと思われる。
先日、個人的にNIH(国立衛生研究所)、NSF(国立科学財団)、NASA(米国航空宇宙局)、 MIT(マサチューセッツ工科大学)など米国の政府機関や大学を訪れ、 研究評価制度について現地調査を行った。 どの組織でも、実に厳正かつ緻密な評価制度を作り上げていることに大変感服した。 合わせて、実際に評価に当たる人たちが、 評価を行うことに対して非常に大きな責務とやりがいと誇りを持っていることにも深く感動した。 評価を行うことが自分たち研究者の責務であるということをきちんと自覚し、 それが良い評価制度を作る下支えになっているということが強く感じられた。
では、なぜ米国の各研究機関がこれほどまでに充実した評価制度を構築し、 また各評価者が高い意識を持ち得たのかと言えば、 その理由は大きく分けて二つあると思う。
一点目は、何故評価をしなければならないのかという「目的意識」 が極めて明確になっているという点。各国それぞれの目的意識は違うと思うが、 米国では、そもそも研究資金は国民からの税金で賄われており、 それを使って研究を行うからには、できるだけ効果的に資金を配分・投入し、 その結果として最大のベネフィットを国民に還元しなければならないし、 だからこそ評価は非常に重要であるという認識でコンセンサスが国全体に形成されているというところが評価制度をこれだけ充実させている一番の要ではないかと思う。
もう一点は、評価結果が研究予算の配分などその後の政策に反映されるシステムが、 しっかりと出来上がっているという点。
評価を行うということはそう簡単にできることではないし、 また簡単にできるような評価では意味がない。そうなると、 やはり適切な評価者に評価をしてもらわなくてはいけない。 適切な評価者たるためには評価対象を評価し得るだけの高度な専門性などの能力が求められるが、 そういう方々は自分の研究もしなければいけないので、 時間に余裕があるわけではない。 従って適切な評価者の協力を得るにあたってはそれなりのインセンティブが必要で、 その場合評価者に対して何よりのインセンティブは、自分の行った評価の結果が、 予算配分や人事などその後の政策にきちんと反映されるということである。
今回の報告書にも、ODAの評価目的について、 一つは「ODAが効果的・効率的に実施されているかを検証すること」、 二番目は「評価結果をフィードバックしてODAの質の向上を図ること」、 三番目は「結果を公表することによりODAの実態や成果を国民に明らかにすること」 と記載されているので、主旨としては米国の目的意識と同様と考えてよろしいか。 また今お話ししたような米国の評価制度についてどのように認識しているか、 合わせて伺いたい。
ODAの評価の目的は、 会計検査院の報告書にも書いてあるように三つあると考えている。
一つは、よく検証機能と言われるが、ODAが効果的、 効率的に実施されているかという点を検証すること。 二番目は、フィードバック機能であり、これには二つあり、一つは、 プロジェクト一つ一つを良くしていくためのプロジェクトレベルのフィードバック、 もう一つは、ODA政策全般の改善のためのフィードバックである。 三番目は、評価結果を公表することによってODAの実態や成果を国民の皆様方にわかっていただくことである。
第二点目の米国との比較についてだが、実は私も個人的には全く同感である。 米国の場合は非常に評価が発展しており、その背景には、 やはり行政評価全般についての力量、米国の先進性というものがあるのではないかと考えている。
評価を行う人材の問題についてだが、 この八月に日本において評価学会というものができた。 これは200人ぐらいの学者やコンサルタントの方等々が入っているが、 私どもが承知している限りでは、 米国においては1800人を超える方々が評価学会に入っている。 さらに、日本には評価専門の大学教育というのはないが、 米国ではハーバード大学やコロンビア大学等々、 著名な大学においてパブリックポリシー、公共政策の一環として教育を行なっており、 最近では評価専門の修士、博士というものも教育し始めている。
このような全体的な背景の中で米国のODA評価の先進性というものがあるかと思うが、 最近の米国のODA評価の特色について申し上げれば、 個別のプロジェクトの評価よりは政策、プログラムレベルの評価を重視し、 成果重視の評価を行っていることである。
成果重視という話が最後にあったが、私自身も、 米国の評価目的はタックスを払った国民に最大のベネフィットを還元することにあると述べたが、 日本でもそう考えて仕事をしているであろうが、 その成果・効果を判断することがなかなか難しいのではないかと思う。
私のようにODAの現場を余り直接見たことのない人間でさえも考えられることだが、 例えば食糧や医療品などのいわゆる消え物を差し上げれば、 それを差し上げた地域住民の方々のその時点での満足度は非常に高いだろうが、 消えてしまった後の将来性には繋がらない。 やはり地域の自立的な今後の発展への貢献、効果という意味では、 教育や技術指導も必要であろう。 また、地域では評価されたがその国の政府は余り評価していないということもよく問題になっているが、 そうであれば、現場と国とで異なった評価基準を用意しなくてはいけない。
さらにもっとマクロに考えて、予防外交(紛争防止)的な効果、 地球環境の保護的な効果、国際舞台におけるプレゼンスやプレスティージへの効果など、 いろいろな視点から様々な評価項目が想定される。 こうした項目の評価結果を均一の客観的な数値で表して比較検討し、 そのODAの効果をどれくらいかと判断するのは極めて困難なことと思うが、 現場ではどのようにこの課題に対処されているのか。
ODA評価の数値化、数量化は、なかなか困難を伴うのは事実であるが、 さはさりながら客観的な評価を行うということで、 可能な限り客観的な数値を用いて評価を行うように務めている次第である。
具体的には、例えばプロジェクトレベルでのODA評価については、目標の達成度、 社会的な波及効果、プロジェクトの効率性などを、 識字率や給水率や乳児死亡率等の具体的な指標で評価している。
ただ、まだまだ不十分なので、 特に行政監視委員会の御指摘も踏まえて評価を強化するということで、 今年度から事前評価表というもの試行的に実施することにしている。 これは無償資金協力案件すべて及びプロジェクト技術協力案件の一部について事前評価表を作成し、 プロジェクトの事前段階での調査結果を踏まえて、 予想される成果に関する指標を数値目標に影響を与える外部要因とともに明示し、 この案件を継続的にモニタリングしていくといったことを検討しているところである。
その他、外務省においては数量的指標化の精緻化を目指してコンサルタントに研究を委託しており、 JICA、JBICでも研究会等を設けて指標化の前進を図っているところである。
ぜひ様々な工夫、努力を続けていただきたい。
今月(平成12年9月)の9日の与党三党政策責任者会議で、 来年度予算編成でODA予算を大幅に見直し削減するという合意がなされ、 しかもその中で我が党の亀井政調会長がその削減目標について30%という数値まで明示されたのには、 私だけではなく外交部会のメンバー一同、 与党の一員でありながら全くの寝耳に水で大変驚愕した。
その後早急に党内で外交部会を初めとしていろいろな検討委員会が開かれたが、 30%という大幅削減はともかく、 やはり不必要なところに投じられているのであればそれは削減しなければいけないという意見は多数出た。
このような逆風がODAに対して吹く背景には、 今お尋ねしたような評価項目に関してこれまで評価結果が明確に示されていなかったため、 わが国のODAが国民や国家や国際平和に対してどのようなベネフィットをもたらしたのかが判断できず、 結果としてはたして現在行なわれているODA予算は国益に叶った配分額であるかという点に大きな疑義が生まれているのだと思う。
こうした疑義を払拭するためにも、 評価自体の方法や評価結果の公開方法をもっと工夫し、 国益や国民益にどれだけODAが貢献しているかをもっとわかりやすく提示すべきだと思うがいかがか。
評価結果の公表についてだが、1982年以来毎年「経済協力評価報告書」 というものを公表してきているが、 評価の実施から公表までにかなり時間がかかっているという欠点があった。
この7月から、評価の実施後、 迅速かつ国民の方々にわかりやすい形でホームページに公表することを開始した。 「経済協力評価報告書」についても同様にホームページで公表しているが、 ODA関連の案件の中では評価に関するページへのアクセスが非常に多くなっている。
私も評価結果に関するホームページを拝見したが、 こういう形で手軽に自分たちの払った税金がどのように世界各国の方々のために役に立っているのかを見られるというのはとても有り難く、 ODAに対して前向きな認識を国民間に醸成するには本当に有効な手段であると改めて感じた。 今後もぜひこの方向でさらに充実していただきたいと思う。
ただ、長く書けばいいというものではないが、 もうこれで充分であるということに終始すると、それを見た国民は、 本当にそれで充分なのかと逆に疑念をいだいてしまうので、 もう少し改善すべき点について詳しく書いた方が、 かえって真実味が伝わってくると思う。
もう一点お願いとして、このページには「ご意見のある方はこちらまで」 とEメールアドレスが記されているが、こうして得られたご意見の中で、 検討に値すると判断されたご意見を整理して公表すれば、 よりODAに対する注目や関心度が高まるのではないかと思うので、 検討していただきたい。
最後に一点、今ホームページの話が出たので、電子化の利用について伺うが、 冒頭に述べたように、十分な専門知識とやる気を持った評価者を、必要な時に、 必要な数、必要な期間確保することは本当に難しいことだと思うが、 この課題を解決するためには、データベースを作っておくことが大変有効だと思われる。 しかも、そのデータベースが電子化されていれば様々な処理も簡便に行え、 また、そのデータベースを使って評価者に評価の依頼をしたり、 インターネットで評価自体を行ってもらったりということができるので、 一石何鳥にもなる。
先述したNSFでは、SBIRについての評価を電子的データベースを活用して行っているという話を伺った。 米国では、中小企業庁が非常に大きなデータベースを使って効果を上げているとのことだった。
わが国では、評価業務にあたっては、シンクタンクやコンサルタントに依頼したり、 NGOなどと共同で調査・評価を行なっているようだが、こうした分野で活動している人たちについての電子的なデータベース化、 ネットワーク化は既になされているのか。 最初作るときには費用も手間もかなりかかるが、 ぜひ検討して早急に構築していただきたい。
データベースの構築は効率的な評価業務の実施あるいは評価人材の有効活用のため極めて重要であると考えており、 現在、評価人材のデータベース化及び実施機関等の情報ネットワークの構築を進めているところである。 あわせて、先ほど述べた日本評価学会がこの9月に設立されたので、 今後この学会を通じてもネットワーク化を取り進めていきたいと考えている。
畑 議員 もし予算が必要となれば、これは私ども国会議員がその主旨を理解し、 力を尽くすことになるので、ぜひ早急に検討し、構築していただきたい。
いずれにせよ評価というのは、 より良いパフォーマンスを行うためにこれから重要性を増してくる分野であるから、 評価自体に予算要求をもっとしていただきたいというのが私自身の願いである。
政策のプロジェクトについては予算配分されるけれども、 当然その中に評価が織り込み済みになっていて、 評価を一本立てして予算要求できるような仕組みになっていない。 「ある一定の研究プロジェクトに対し補助金や競争的資金を出す際には、 何%から何%評価資金をつけよ」というような文言を「科学技術基本計画」 の中に書き込みたいという思いを持っている。 ODA評価というのはある意味で行政評価の最先端を行く分野だと思うので、 今後のなお一層の御活躍と御健闘をお祈りしている。
質疑の持ち時間が少なく、準備していた質問を全てすることはできませんでした。 以下の項目は委員会終了後、 外務省経済協力局より回答を頂きました。
畑 議員 外務省のサイトで公開されているODAの評価結果ページを拝見したが、 やはり自分が支払った税金がこのような形で世界の人たちのため役立っているのかと、 手軽に手に取るようにわかることは有り難く、 ODAに対して前向きな認識を国民間に醸成するには本当に有効な手段であると改めて感じた。
この評価結果ページには、外務省に対してご意見のある方はこちらまでとアドレスまで記されているが、 こうして得られたご意見を含めODAの評価結果に対する国民からの評価については調査・分析しているのか。 また、国民の皆さんのわが国のODAに対する評価はいかなるものと判断されているのか、 合わせて伺いたい。
外務省では、ODA評価の情報公開をより一層推進していくとの観点から、 今年7月から、ODAプロジェクトの評価結果概要を、 評価実施後迅速にホームページに掲載している。
評価報告書へのアクセス件数は、ODA項目全体のアクセス件数の約3割を占めており
(注)、この数字は国民のODA評価への関心の高さを示している。
なお、毎年総理府により世論調査が実施されているが、 国民の7割がODAの維持・拡大を支持していると承知している。
また、当省は、99年度より「ODA民間モニター制度」を創設し、 一般の国民の視点からODAの現場を視察してもらい、 その意見をまとめた報告書を公表している。
外務省としては、今後ともODA民間モニターをはじめ、 ODAに対する国民のご意見を真摯に受け止めると共に、十分調査・分析を行い、 効率的・効果的なODAの実施に努めていく。
(注)本年9月(1ヶ月間)のODA評価報告へのアクセス件数は、 87,616件(内、最新評価レポートへのアクセス件数は1,077件)である。
【参考】評価室のメール・アドレスの開設以来、 寄せられたメールの件数は次の5件である。メールの内容については次の通り。
1. 対中援助を停止すべきであるという大学生からの意見具申。
2. 最新評価レポートの報告書の形式についての意見。
3. ミャンマーへの援助を凍結すべきであるとの意見。
4. 対中経済協力に関する懇談会に関する質問。
5. 2000年度の経済協力評価報告書についての問い合わせ。
正しく質の高い評価を行なう上で、 適切な評価者の選定と確保は重要な課題である。 報告書には第3者の積極的な活用が謳われているが、 評価の客観性・中立性・透明性を担保するという意味でも、 また専門的な知識や経験を補うという意味でも、 是非その方向で評価を実施してもらいたい。
ただ実際に、適切な評価者を十分な人数と時間だけ確保するというのは、 容易いことではないと思うが、現在はどのように採用しているのか。
評価の公正性、客観性を高めるため、 第3者による評価は極めて重要であると認識しており、 従来より、学者、報道関係者等の有識者、国際専門家等に評価を依頼してきている。 最近では、第3者評価の更なる充実のため、NGO、被援助国関係者、 シンクタンクにも評価を依頼している。
また、評価者を選定する際には、評価者の専門分野、業績を見極めつつ、 適切な評価者を選定するよう努めている。今後とも第3者評価の拡充に努めて参りたい。
先ほど米国の例で、 優秀な評価者に協力してもらうためのインセンティブとして、 評価結果をその後の政策に対して明確に反映させるためのシステムが不可欠という話を申し上げたが、 現在のODA評価結果については今後のODA政策へどのようなシステムで反映されているのか。 過去に評価結果のフィードバックが行なわれた代表的な事例を挙げて、 できるだけ具体的にご説明を頂きたい。
外務省経済協力局 評価結果については、評価報告会、セミナーの開催、「経済協力評価報告書」 の公表等を通じて、関係省庁、JICA等、 広く援助関係者にフィードバックすることにより、 案件の改善や援助の効果的・効率的な実施に役立てている。
また、評価により問題点が明らかにされ、 フォローアップが必要とされた案件に対しては、 迅速且つ適切な措置を講じるようにしている。
更に、最近では被援助国側の改善努力が必要な点については、 直接被援助国に改善を促すことが重要と考え、 現地においてセミナーの開催等を行っている。
評価結果のフィードバック機能を一層強化するため、 外務省内で「ODA評価フィードバック委員会」を近々設置することを検討中である。 経済協力局長をヘッドとして、経済協力局内の関係各課長、 実施機関の部長などが委員として参加する。 国別評価や特定テーマ評価、 政策的観点を強化した在外公館評価等の結果を迅速にフィードバックし、 今後のプログラムや政策の企画立案に役立てていく。
フィードバックの例として、「ガーナ大学基礎学科教育機材整備計画」 (無償、88年度)がある。本件では、 同大学の自然科学系学部における研究・実験機材の不足により基礎分野の実習さえ行い得ない状況があった。 こうした状況を改善するため、視聴覚機材、 理化学機材等の基礎科学教育用機材供与を実施したものであるが、評価により、 本プロジェクトは大学側の予算の制約により独自にスペアパーツが購入できない状況にあり、 一部機材が故障したままの状態であったことが判明したため、 フォローアップ調査を実施し、実施機関の対応能力を十分に検討した上で、 必要な修理用部品及びスペアパーツを供与するとともに修理技術者を派遣した。