日本の総人口は1995年時点で1億2600万人。 そして同じ年、日本の合計特殊出生率(女性が一生の間に産む平均子供数)は1.43となり史上最低を更新しました。 このままこの出生率が変わりませんと、 百年後には総人口は5000万人台にまで落ち込みます。 つまり百年間で日本の人口は半減してしまうのです。
ところが高齢化社会への取り組みとなると高齢者対策ばかりが論じられ、 このような来るべき少子化社会に対する危機意識というのはあまり高まっていないのが現状ではないでしょうか。 人口が減少してゆく時は、まず労働力人口が減少します。 特に若年労働力が激減するので、どうしても技術革新への対応が遅れがちになり、 投資マインドも減退していきます。貯蓄率も低下し、内需も伸び悩みます。 これでは日本経済は徐々に衰退して行ってしまいます。 少子化現象にどうしたらストップがかけられるのか-これはまさしく21世紀における日本の存亡が掛かった大問題なのです。
では具体的に一体どのような対策を取って行ったら良いのでしょうか。 こうした問題を考える時、必ず声高に聞こえてくるのが女性の社会進出元凶論です。 そもそも女性の高学歴化が進み就労機会が拡大し、 その社会的・経済的地位が向上したため、 非婚や晩婚の女性が増加して子供を産まなくなってしまった。 だから女性はやはり家庭に帰るべきだという短絡的な意見です。 しかし今更、時代の流れに逆行して女性を家庭には押し込められませんし、 第一そんなことをしたら貴重な日本の労働力をみすみす半分失うことになってしまいます。
また子供を産むことに対して国が微々たる奨励金を出すとか、 反対に産まない人にはペナルティーとして高い税率を課すなどといった、 あたかも戦時中の「産めよ殖やせよ」的な国策を主張する向きもありますが、 子供を産むか産まないかはあくまでも個人の選択の自由が保障されなければならないことだと思いますし、 大体今の世の中でそのような策を取ってもおそらく「北風と太陽」のような結果となって出生率は決して伸びないと思います。
本当に出生率を上げたいと思うのならば、 それは女性が子供を産んでも仕事を続けられような社会を実現する以外にありません。 仕事を取るか、子供を取るか、 現実的には二者択一をせまられてしまうような今の日本の社会体制のままでは少子化にストップはかけられないでしょう。 実際他の先進諸国の状況を見ても、 女性の社会進出が早期から始まっている国ほど出生率は高くなる傾向にあり、 男女参画型の社会整備を進めることが出生率アップの切り札である事が数値的に立証されています。
と言うわけで、 実効性のある家族政策を私達政治家が行ってゆく事が喫緊の課題となるわけですが、 育児休業制度や公的保育サービスの充実と合わせ、 やはり児童手当の引き上げや税制の見直しなども図ってゆかねばと思っています。 こうした点については、 自民党も行政改革推進本部の規制緩和委員会の中に少子化プロジェクトチームを作り、 専門家を招いてずっと勉強会を続けて来ました。 どうしてもこのチームに参加する議員は元から男女参画型社会の実現に前向きあるいは理解のある議員達ばかりなので、 こうした話は理解が不足している議員にこそ聞いて欲しいものだと思えてなりません。 ただ必ずや勉強の成果が具現化されるよう、粘り強く施策を実行して参りますので、 どうか皆さんも仕事や育児の現場からの声を、 なるべく具体的な形でお伝え下されば幸いです。