緊急事態に対応に関する「情報管理」(平成11年3月6日)

これは自由民主党「危機管理プロジェクトチーム」におけるプレゼンテーションの内容です。

<危機管理プロジェクトチームとは>

 昨年8月31日の北朝鮮の弾道ミサイル“テポドン”発射などにより、今こそ、 わが国の安全保障上の危機管理問題を、緊急に検討する必要性が高まってきました。
 そこで1月27日に、 自由民主党内の国防部会・安全保障調査会・基地対策特別委員会の下に、 額賀福志郎前防衛庁長官を座長とした「危機管理プロジェクトチーム」を設置し、 わが国の防衛・危機対応能力の強化策、各種事態への対応態勢の充実、 各事態に対応した法制の整備などについて国会議員が報告者となって検討を行っています。  畑議員も「緊急事態対応に関する『情報管理』」 についてプレゼンテーションを行い、出席議員と議論を交わしました。

日時

平成11年3月5日(金) 8:00~9:00

会場

自由民主党本部701号

緊急事態対応に関する「情報管理」

情報収集・伝達マニュアルの作成

主要素の設定

 第一報が総理官邸並びに各機関の指揮官に手際良く届くためには、 あらかじめ主要素(トップが最初に一番知りたいことは何か)を決め、 また逆にどの情報は担当大臣や副指揮官止まりで良いかを決めておく。

情報の一元化

 適切に情報が一元化されるには、情報伝達・集約のシステム構築が 必須であり、徹底したシミュレーションの上、綿密なマニュアルの作成が必須。

空振り・官庁の重複を恐れぬ通報体制

 いずれとも判断できない情報に遭遇した時には、空振りをおそれずに通報する雰囲気、 あるいは主管官庁に遠慮すること無く通報する雰囲気を醸成しておく。

「適切な判断=内容の適切さ×タイミング」の徹底

 情報は収集することが目的ではなく、 適切な判断を決定するための情報は収集することが目的ではなく、 適切な判断を決定するための材料であることを肝に銘じ、 情報量と時間との妥協点に留意したマニュアルを作成する。

マニュアルに基づく徹底した訓練

 どんなに立派なマニュアルを作成しても、 その通り実行できないのでは絵に描いた餅以外の何物でもない。 マニュアルの正確な実施の為には、 綿密な「シミュレーション」に基づく徹底した訓練が肝要である。なおその際、 人事移動によって「訓練」が無駄にならないよう実施時期・頻度を設定すべきである。

情報のデータベース化の推進

 秘匿度の高い情報も緊急時に対応できるよう、 限られた幹部には省庁横断的に共有できるようデータベースを検索できる環境を整備しておくべきである。 何故ならある部門では重要視されなかったデータでも、 別の部門にとっては重要になる場合がある。 また官邸にも横方向の情報が迅速に入ってくるシステムが必要である。
 ただ、この際の必須条件は情報セキュリティの確保であるので、 然るべき予算措置を情報セキュリティに対し早急に行う必要がある。

危機管理支援隊の設置

 平時における情報収集・分析作業とは別に、 危機の発生時にこれに迅速 に対処できる 「危機管理支援隊」の設置が必要である。
 同隊のメンバーは、各省庁からの危機管理の専門家を採用するが、 3年間は同じ顔ぶれとするほか、出身官庁からの独立性を確保し、 元の省庁に戻っても不利な待遇を受けないよう配慮すべき。 なお組織は官邸直属とし内閣官房あるいは内閣府に設置する。

国際情報機関とのネットワークの構築

世界の情報機関は、サミット参加国を含め大体(以下のように)“三本立て”であるが、 日本はこの体制に対応できているとは言い難い。 国際的な各情報機関と同等に情報交換ができる体制を整備すべきである。

             CIA(国務省) … 大統領直属の情報機関
     ・ 米国  → DIA(国防総省)… 軍事情報担当機関
             外務省      … 正規の外交情報
  (例)
             KGB
     ・ ロシア → GRU … 軍の情報機関
             外務省

危機管理支援隊

危機管理支援隊とは (帝京大学 志方俊之 先生案)

  1. 危機管理支援チーム ・・・状況判断のブレーンとなる
  2. 事態別特殊支援チーム・・・特殊な事故等に対応する
  3. ソフト開発保守チーム・・・日進月歩の技術をフォローする

1. 危機管理支援チーム

  • 危機管理支援チームの五個クルーは、上番・下番・予備・休養・見習い訓練クルーから成り立つ。
  • 三年を単位に一つのクルーを一挙に入れ替える。 三年間は固定したクルーで勤務させる。最初の一年は見習い訓練をさせ、 二年間は通常勤務とする。
  • 予備クルーは緊急時に上番し、増強クルーとして勤務する。
  • 一個のクルーの人数は一組を5名(スタッフ3名補助員2名) として十ないし十五種類(警察・消防・医療など)の情報を処理する。

しかし、危機管理支援チームが危機管理支援クルーだけでは、 意志決定を支援する体制はとれない。 危機管理支援チームの他に管理支援クルー、器材保守クルーが必要であろう。

※危機管理支援チーム    100~140名

内訳

  • 危機管理支援クルー  (5個) (10~15名) ×5
  • 管理支援クルー    (4個)  (4~5名) ×4
  • 器材保守クルー    (4個)  (4~5名) ×4

2. 事態別特殊支援チーム

  • 対テロ、対ハイジャック、 対原子炉事故等の事態別に特殊技能者によって編成され平時はそれぞれに勤務しているが、非常時に呼集され、勤務に就く。
  • 当面三クルー程度必要となる。
  • 常任の危機管理支援チームと特殊チームの共同訓練を行い、 常日頃から運用上のデータを召集することが肝要である。

3. ソフト開発保守チーム

  • 技術の進歩は、日進月歩であるので、 コンピュータを入れたらそれでおしまいというわけではない。 特にソフトについて、常に最先端の技術を活用するには、 保守していくことが重要である。
危機管理支援隊           130~180名
内訳    
1. 危機管理支援チーム 100~140名
2. 事態別特殊支援チーム (4~5名) ×3
3. ソフト開発保守チーム 20~25名