有権者のみなさん 私のページを見て
選挙気になる? アンケート、政治資金公開… あの手この手でPR
永田町のセンセイも続々インターネット インターネット上に個人でホームページを開設する国会議員が、ようやく増え始めた。発祥地・米国の議会と比べ、日本の国会のインターネット利用環境や議員の利用度の遅れは、3年とも5年とも言われる。米議会に追いつく日が来るのかどうか。まずはホームページを持ち始めた議員の「インターネット事情」を探ってみた。
【佐々木雅裕】
対抗意識見え隠れ
パソコン通信・インターネットを先駆的に利用し、雑誌のインタビューなどにも頻繁に登場する簗瀬進衆院議員(さきがけ)。昨年10月に開設したホームページは、毎週月曜朝に宇都宮駅前で続けているつじ説法を要約した「国会通信」、自己紹介、ネットワーク活動、近況、趣味、著書など盛りだくさん。4月にはページを置くプロバイダー(接続サービス業者)のコンピューターにハッカーが侵入、データを壊されるというネットワーク時代の事件にも遭遇した。
次期衆院選で同じ栃木1区から立候補を予定している船田元衆院議員(新進党)もライバル意識を燃やしてか、4月にホームページを開設。秘書の「自家製ページ」では、船田氏の著書を紹介しているほか、近況を伝える「はじめ倶楽部かわら版」なども。内容は宇都宮で更新しているが、ホームページは米国の業者のコンピューターに。「通信事情、維持費、ホームページのアドレスの好位置に個人名が入ることなどを総合的に考え、米国発信にした」(伊藤太朗秘書)という。
与野党連携?
「米国ではホームページを持たない議員はホームレス議員と言われるそうで」というのは、荒井広幸衆院議員(自民党)。NEW-WIC(新福祉情報通信)議員連盟教務局長で、今年1月、ジャック・フィールズ米下院電気通信小委員長(共和党)を訪ねた。議員会館自室には、まだ珍しいISDN(統合サービスデジタル網)が敷かれている。
荒井氏のページは、同じ議連仲間の前田武志衆院議員(新進党)のページにリンク。対立する自民、新進両党だが、両氏のページは行き来自由。2人は一緒にページを外注したため、レイアウトはウリ二つ。英語が得意な前田氏もパソコン操作は「今一つ」で、秘書とともに奮闘中だ。
秘書泣かせ
枝野幸男衆院議員(さきがけ)の事務所には、ホームページを見て「民法改正案の全文が欲しい」と注文のメールがきた。案文はあったが、紙に印刷されたもの。「全文ワープロで打ち直す人手もないし……」(秘書)。メールへの対応は、時に秘書泣かせのこともある。
パソコン通信歴8年で、「パソコン大好き人間」という小坂憲次衆院議員(新進党)。メールアドレスを名刺や後援会の中込書には入れているが、ホームページからは外した。「メールが殺到すると誠実に対応しかねる」という。
高見裕一衆院議員(さきがけ)は阪神大震災の「被災地の生の声をそのままアップ(ロード)するページ」を開設。厚生省OBの熊代昭彦衆院議員(自民党)が、ニフティサーブの掲示板に投稿、物議を醸した「エイズ問題のデタラメ報道を信じてますか?」の文書も転載している。
ホームページで政治資金を公開しているのは松沢成文衆院議員(新進党)。夫婦別姓の賛否を問うアンケートも実施中だ。佐藤謙一郎衆院議員(無所属)はホームページで「居酒屋で政治を語り合ってもいいじゃないか」と、自ら横浜に開店した居酒屋を紹介。店にパソコンを置き、インターネットの勉強会も開いている。畑恵参院議員(新進党)は「日本の首相は、だれがふさわしいか」のアンケートを今週初めまで行っていた。
米下院では32%が開設
米下院では、ホームページを持つ議員は140人(定数の32%)。メールアドレスを公開しているのは163人(同37%)。上院ではメールアドレスの公開は79人(同79%)だ。米議会のインターネット事情に詳しい参院商工委調査室の大洋修一調査員によると、米議会でメールアドレスを公開する議員が増えたのはここ2年ほどのこと。インターネットの急速な普及に、議員やスタッフが敏感に反応せざるを得なかったためのようだ。
一方、政党レベルでも自民、社民、さきがけの与党3党のほか、新進、共産、市民リーグ、自由連合がホームページを開設。マルチメディア時代を意識した政治戦略を展開している。
編集・レイアウト楠原 誠一