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早稲田「新鐘」64号



 チャールズ・ハンディ−英国のピーター・ドラッカーと称され、欧米を代表する世界的な経営思想家である彼の著書『The Hungry Spirit』が、政治家としての私にとって魂の羅針盤となってもう何年経つだろう。邦題『もっといい会社、もっといい人生−新しい資本主義社会の形』(河出書房新社刊)としてこの珠玉の一冊を翻訳された埴岡健一さんから訳書をご恵贈賜ったのが、ハンディと出会うきっかけだった。

 政治家とは、“人々を幸福にするための基本的なシステム作りを行なう者”というのが私の持論だ。しかしそれだけに毎日引き裂かれる思いで悪戦苦闘し、常にボロボロの満身創痍である。なぜなら幸福感なんてそれこそ十人十色・千差万別で、まさしくあちらを立てればこちらが立たず。人々の欲望や価値観が交錯する不条理の大海原で、そこら中から高い波や強い圧力を受けながらも、自分が信ずる国民(あるいは人類)共通の幸福というビジョンやゴールに向けて舵を取り、なんとか日本丸を到達させねばならない。とは言え有権者の希望に叶った際も感謝はされず、が、叶わなかった時は袋叩きに遭うのが政治家の宿命だけに、次のようなハンディの一言一言は、癒しと勇気と希望となって私の心に深く染みわたる。

 「人生を本当に見違えるほど素晴らしくするのはカネではなく、他人に対する責任や何らかの大義名分を信じることだ。結局のところ、何が人生の目的なのかを理解することが難しくても、人生の目的が存在することを信じることが重要なのだと思う。」

 「何が真実かわからないという分野に至ったとき、人は信念というものをもつようになる。(中略)信念は常に個人的なものだが、自分だけのものとは限らない。信念が共有され拡まっていけば、政府には及びもつかないほど世界を変革する力がある」

 幸せって何?生きる意味って何?と悩むことの多い現代人には、必読の一冊である。



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