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作新学院新聞 − 173号

「更に変化し、向上し続ける者−作新」



 今年もまた9月28日が訪れ、皆様のお蔭をもちまして作新学院は、創立117周年を迎えることができました。学院を愛し支えて下さったすべての方々に、心から感謝申し上げます。

 明治・大正・昭和そして平成と、激動の時代を幾度の大戦をも乗り越え、作新はなぜここまで存続し発展することができたのか−創立の日を迎えるたび、私はこの問いを胸にその足跡を振り返ります。そしてその答えが、『作新』という校名に創立者・船田兵吾が込めた、「日に日に新たなり」という建学の精神にあることを実感します。

 より良い人間となるため、より良い社会とするため、人はより広い世界に目を向け、日々努力をしてその知恵を吸収し、それを血肉として変化し、向上し続けなくてはならない。「作新」の意味を、自分なりの解釈で恐縮ですが、私はこのように解釈しています。

 明治の初め、船田兵吾が文明開化の風を一身に受けて学院を創立した当時、わが国には福沢諭吉や新渡戸稲造、星一(星薬科大学創立者)など、日本の精神的な近代化を促した人物が次々と現れ、様々な分野で活躍します。欧米に遅れた日本を改革するため、こうした人物が共通して行ったこと、それこそが理想的な教育の実現、即ち学校の創設でした。彼らによって培われた確固たる教育的“礎(いしずえ)”があったからこそ、わが国は極東の島国でありながら欧米の列強に伍して明治以降目覚しい発展を遂げ、また第二次大戦で一度は焦土と化しながらも、奇跡の復活を果たし“ジャパン・アズ・ナンバーワン”と言われるまでの急成長を達成しました。

 さて、最近の日本はと言うとどうも元気がなく、あらゆる分野で明るい材料がなかなか見当たりません。経済は落ち込みを続け、政治は大衆迎合主義に翻弄され、残虐な事件やモラルハザードによる大事故が日常茶飯に起こる−私はその根本的な原因が、戦後の「教育」にあると確信しています。今の日本には先述した「作新」の精神を尊重し実行するどころか、嘲笑するような風潮が蔓延しています。まじめに誠実に真剣に生きることが人として当然であり、苦労を重ねて頑張ることは素晴らしいことであり、その結果は必ず幸福につながる。私は今こそ大人たちが、堂々と子供たちに人の道を説くべき時だと思います。

 しかし現実の大人たちはこぞって、マスコミが煽る「世論」という幻想を追いかけてブランド品を買いあさり、昨日まで絶賛していた有名人を今日には見放し、自分の信念や価値観などどこにも見当たらない状態で、これで前向きに生きるパワーや国際競争力など出るわけもありません。

 日に日に新たに変化し続けるためには、目指すべき明確なビジョンと不断に学び続ける努力が必須であることを肝に銘じつつ、わが国の基礎を築いた人々に恥じることの無い一年を明日からこそは重ねたいものです。


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